一級建築士事務所 栗原健一建築事務所


No.12 2024/7/29  建築相談会事例から浮ぶ工事監理の重要性










KenKurihara Mail Magazine
知人の皆様へ 栗原建築事務所からのお知らせです。


 あまりの酷暑で、さすがに寒がりの私でも「暑い」と感じています。
 皆様も、体調に気を付けられておられますか?

 昨日、暑いさなかですが、建築士にとって日頃のアート研修は必要と、千葉の「DIC川村記念美術館」を妻と訪問しました。
 DIC株式会社(大日本インク)が収集してきた美術品を公開する施設として開設していて、広大な敷地の中に海老原一郎の設計による美術館があり、レンブラント、モネ、ルノワール、ピカソ、シャガール等が1,2点と、抽象的な現代美術作品が多数展示されていました。

 抽象作品は、何を描いているかを考えても仕方なく、何を感じさせてくれるか重要ですが、今回はあまり感じさせてくれる作品は少なかったように感じました。
 この美術館の特筆は併設されている青山あたりにありそうなかなりおしゃれなレストランで、パスタのランチコースの前菜は絶品でした。
 美術ファンやグルメの方は、一度行かれてみてはいかがでしょうか?

  https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/collection/


 さて、本メルマガの第1号で紹介した「建築よろず相談会」は、毎月第2金曜日に新宿のリクシルショールームで開催していますが、ここに相談に来られる方の抱える問題から、相変わらず独立した建築士に業務を依頼せず、施工会社、ハウスメーカーに設計を含めた施行などを依頼することの弊害が見て取れます。
 そこで、今回はある例をご紹介します。

  建築よろず相談: http://www.yorozu-kenchiku.net/soudankai.html
  ※法人格変更に伴いアドレスが変わっています。


 相談者は、10年前にある不動産業者から土地を購入し、その業者に木造2階建ての住宅の設計と施工を発注しました。
 工事が終了した後、確認審査機関の検査済み証も発行されています。

 最近になって、この業者が本来の土地の形状を正しく把握せず、当初の計画の配置と異なって建てたことが判明しました。確認申請機関はこの配置などについて誤っていることを把握せず検査済み証を発行し、そのミスを認めています。

 工事開始前の現地確認で、縄張りなどの作業を行わなかったか若しくは不十分な作業で、敷地形状が相談者の確保した敷地と現状が異なっていることに気が付かなかったことが原因と推察されます。

 この誤りにより、建物の軒先が隣地の水路に越境しており、この部分の削除を行わなければならない状態となりました。相談者は当初の計画通りの配置に戻してもらいたいと希望していますが、業者はこの多額の費用のいる復元には同意せず、金銭的解決(約20万円)を提案してきています。この件も最終的な解決はまだのようです。

 このケースも、施工を兼ねない独立した設計事務所が工事監理をおこなうことで防げた可能性があります。

 設計に関してはそれなりの設計技術力がある施行者の仕事は評価できることはありますが、往々にして工事監理は不十分なことが多々あります。

  国交省の「工事監理」サイト:https://www.mlit.go.jp/common/001279403.pdf
 

 ※以下は、相談会ではありませんが過去の私の体験の余談です。

 ある有名なファッションブランドの会社の社長が購入した渋谷の超高層タワーマンションの1室の施工不良の疑いからその会社から調査の依頼を受けたことがあります。

 施工不良という点は見受けられませんでしたが、その過程でこの施行を行った超大手の建設会社に法定の「工事監理報告書」を見せてもらうようにお願いしましたが、驚いたことにこの書類を作成していませんでした。

 後日、連絡を受けて私一人でその建設会社に伺いますと、会議室に5,6人の社員の方がそろって出迎え、気まずさそうに急遽作成したその書類を見せて貰ったことがあります。
 大手と言えどもこんな事例がありますが、工事監理の認識が乏しいのでしょう。


 住宅やビルを建てる場合、設計施工会社に一括で依頼することがあるでしょうが、できれば工事監理だけは私のような建築士に別途依頼する事が望ましいでしょう。
 それを拒否する施行会社は多いと思いますが、これを受けてくれる会社なら逆に信頼できるかもしれません。











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